私のヨーロッパ日記

2016年4月19日から5月3日までヨーロッパを周遊しました。その日記です。

4/21 アムステルダム

オランダ最終日となった今日は、オランダに住む友人がアムステルダムを案内してくれる日だ。

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待ち合わせ場所のアムステルダム中央駅の玄関で待っていると友人がやってきた。懐かしい限り。おしゃべりが終わらなかったが、とにかく中央駅の前にある観光案内所でどこに行くか決めることにした。

アムス近辺に住んでいるのは知っていたが、学生時代の友人とこんな海外で待ち合わせをするのは本当に変な感じで、すこしのぼせてしまっていた。そんなスキを見逃さないのがスリの連中だ。おかしいなとは思っていた。なにか背後に人の気配がする。パッと振り返ると鞄のチャックが開けられていた。そして男と目があった。「何してるんだ」と一喝するとそそくさとその男は去っていった。小さめのキャスター付き鞄を持っていたから観光客を装っていたのだろう。一応確かめたが、何も盗まれていなかった。旅行慣れしている方だと思っているが、スリに遭うなんて初めてだった。幸運にも何も盗られなかったが。これは気をつけろという神の思し召しだと理解することとした。

まず友人に連れて行ってもらったのが船による運河巡りだった。運河の上から見る美しい街並みもこれまた格別だった。友人の話によると運河の上に浮かべた船に住んでいる人もたくさんいるのだという。たしかにハウスボートがいたるところに浮かんでいる。水の上に暮らすというのはどういう気分だろうか。一度試してみたい気もするが、蚊が多いんだろうなと思ったり。

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運河巡りを終わらせ次はアムステルダム国立美術館へ。美術館の一階が自転車道になっており、改修の際にその自転車道を狭くしようとしたものだから大揉めに揉めて4年の工期が10年になったという美術館だ。なんとその姿が映画化され日本でも公開された(「みんなのアムステルダム国立美術館へ」)。これは国家的プロジェクトにおいても自転車乗りの意見も十分に尊重される本当にオランダ的な話だ。時間がなかったので中には入らなかったが、自転車道は健在だった。

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そしてゴッホ美術館へ。ここは本当に感動した。この美術館は「ファンゴッホと目と目を合わせて」と題された数多くのゴッホの自画像と年表が展示されているフロアから始まる。観客はまずここでゴッホの人となりというものを俯瞰することとなる。そして次のフロアでは、拳銃自殺の一年前である1889年までの作品が展示されている。「ジャガイモを食べる人々」や広重を模写した「日本趣味」が展示されているのはこのフロアだ。そして次に進むと、ゴッホの死後に関する展示になる。ゴッホと同居していた弟の妻がどのようにしてゴッホの絵を世の中に知らしめたかを中心に展示が進む。あれ、途中飛んだなと思いながらも最後のフロアに向かうと、そこが1889年から1890年の最晩年に描かれた絵画が展示されているフロアだと分かる。1890年に描かれた「花咲くアーモンドの木の枝」は背景の青が本当に美しかった。そんな美しい作品も多いのだが、死に近くにつれゴッホ特有の「うねり」が強くなるのも非常によく見て取れた。筆使いが尋常でないのだ。ゴッホが苦しんだ精神病の影響もあるのか、どんどん世界が歪んでいく。そしてその歪みを作り上げる、そのうねる一筆一筆が見る者の胸をえぐる。見ていると苦しい、だけれども見ておきたい。絵を見てこんな気持ちになったのは本当に初めてで驚いた。今でも思い出すと体が震えるぐらいだ。f:id:myeurotravelling:20160507233116j:plain

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館内の写真は禁止なので、ちょうど満開のアーモンドの花と青空をバックに。

 

こんなことを言うと怒る人もいるかもしれないが、ゴッホは非常によくトレーニングを受けた画家によるアウトサイダーアートの一種なのだと思った。

 

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アムステルダムの街に光が踊る

その後は、2日ぶりに飾り窓地区へ。売春博物館があるというので行ってみる。ゴッホを見た後だったので少々どうかなと思ったが、入ってみると思ったよりも楽しめた。売春婦の1日をビデオで見ることができる。近くに住んでいる小さな女の子が売春部屋に遊びに来たりする姿が描かれていて非常に興味深かった。

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その後、珍しいものを見た。コロッケの自動販売機だ。オランダはコロッケの発祥の地だそうで、ちょっとしたおやつとしてみんなに愛されている。僕も買ってみたが、よく胡椒の効いたクリームコロッケのようで本当に美味しかった。f:id:myeurotravelling:20160507233252j:plain

友人とご飯を食べ、アムステルダム中央駅へ。ここから夜行列車を乗り継ぎで次の目的地ドイツベルリンへ向かう。寂しいが友人とはしばしのお別れだ。友人は駅のホームまで送りにきてくれた。乗り込んだ列車の窓から見える友人がどんどん小さくなるのを見るのは本当に寂しいものだった。自らこの旅を選んだといえども。

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この列車はチューリヒ行きで、夜半前に着くデュイスブルグ駅でベルリン行きに乗り換えることとなる。ボヤっと車窓を眺めている間に列車はドイツ領内に入っていたようだ。ドイツ語を話す車掌がチケットをチェックしに来た。親切にも次で降りるんだよと何度も声をかけてくれた。

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一路ベルリンへ。